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つれづれ

筆記試験の時、「鵬雲斎大宗匠のお好みでは無い棗はどれか」と言う問題をだした。
1、甲赤棗 2、三光棗 3、五葉棗 4、寿輪棗 の四択。
甲赤棗は五代不休斎常叟好みで1、が正解でした。正答率60%
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                    甲赤棗

その他の棗は稽古で使っているつもりでした。寿輪棗は春の茶会の折に使っているし、五葉棗は教室に宗家から戴いた物なので、いつも使っている。で、三光棗も、稽古で使っていると思っていた。
しかし、極一部の生徒しか使っていなかったようだ。

三光棗の蓋の甲には北斗七星の銀の粒が嵌められ、蓋裏には太陽の金箔、立ちあがりに三日月が蒔絵されている。それで、以前、稽古の時に星の一粒が取れ、蓋裏の金箔は爪跡が付いたので、修理に出した後は使って無かったようだ。

夏の時期は利休所持茶箱の棗として表千家に伝わる「笹露棗」の写しを稽古に使っている。笹露棗は多く売られていますが、これは本歌(本物)に近い物と思える。切りあい口の蒔絵が合わせにくく、稽古で苦労している。それで、今日からは三光棗を使う予定だ。
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                    笹露棗
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                    三光棗

歴代宗匠のお好み棗は数限りなくありますので、覚えるのも大変です。
好み物集と言う本も出版されていますが、全て網羅されているとは思えないし、価格も大変なため、私の覚えた方法は茶道具カタログの切り抜きです。季節で色々な店からDMで送られてきますので、これを切り抜き宗匠毎のノートに貼りつけています。この写真とちょっと調べて、その宗匠が好まれた理由や作家は誰かを書きこみます。但し、DMで届けられるカタログ写真はその全てが写し物であり、その作家の技量で本歌と違っていたりしますので、鵜呑みにするのは危険です。
これも知っていたから何なの?と言われてしまえばそれまでですが、例えば、茶会の折にその棗が使われていたらそれを鑑賞する喜びが、知らないよりは大きいであろうし、知っていて損は無いと思うのです。

※注意
1、鵬雲斎大宗匠のお好みの「甲赤棗」もありますが、こちらは「甲赤大棗」とあり、形が多少違います。そういう意味で、次回、試験がある時は図を入れたいと思っています。

2、甲赤棗は所謂棗の形では無いので、一般的に「甲赤茶器」と呼んでいるようですが、十二代又玅斎の箱書に「常叟好甲赤棗」とあり、甲赤棗と呼んでも問題無いと思います。因みに鵬雲斎好は「甲赤大棗」の銘々です。



嬉しい事には回答を返却した生徒の数人が茶道検定を受けようと言ってくれた事です。
by higashinuma | 2012-08-14 08:12 | 茶道 | Comments(0)

茶道をとおして日々の流れをつづる

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